重治全集読破

去年の11月くらいから手を出して、誕生日くらいに読み終わればいいかな〜と思ってたらちょうど読み終わりました。

重治先生の作品、一言で言うと安心なんですよね……

私はあんまり恋愛要素が出てくる作品(ここでいう恋愛とはくっつく前のこと)は気がせいてしまうのと、あまりにも悲劇を叙情的?に表現されるのも自分の感情の軌道を無理やり補正させられてるようで体調が悪くなってしまうのですが、重治先生の作品はそのどちらも起伏が少ないのが、さらさらと読めてよかったです。(本人の文章はねちねちしているって言われてるけど)

政治のことは専門外なので本当に流し読みしているのですが(本当はよくないんだろうとは思うけど、何も知らないうちから何かしらの特定の思想が根付いてしまうのが怖いというのもあり……)、同郷ということで、地元の方針については頷けることも多かったように思います。

少し話は逸れてしまうのですが、地元の本屋の地元の文筆家のコーナーがラノベとかインターネットから出てきた怪談とかばかりで重治先生の本が全くないのはどうかな?と思ってしまうことがあります。地元の、新幹線が来るからって観光誘致と言いつつホテルや商業施設を潰して、何建てるのかと思ったら銀行とタワーマンションというのはいかがかとも思っていて、この辺は重治先生が生きていたら意見聞けるのになと思ってたりとか……昭和当時ですら駅前の方針があまり観光向きでないのでは?と批判的だった方なので……

推し巻は26巻です。随筆集です。

重治先生は若い頃は随筆に批判的な人で、あまり○○するなと言わない方にも関わらず、若い文筆家にも随筆は書いてほしくないって言ってた(後にこの考えは改めています)方なのですが、「柿のうまい食い方」などの重治先生の鋭い観察眼で書かれた食レポ回をもっと読みたかったです。柿へ灰に入れるとうまいらしい。

あと、店員と客を間違えた話はお茶目で和みました。本人キレてるけど。他人の言葉を理解するのにワンテンポ遅れることを奥さんとかご友人に「重治は蛍光灯」って呼ばれてるエピソードもよかったです。

重治さんは論戦がすごいことで文アルでも紹介されていますが(文アルの論戦バーサーカーっぷりはさすがに誇張表現だと思っていたら、「論戦するなら相手が首を吊るまでやる」発言とか重治先生と論戦をするのは怖いからやりたくないって言ってる人を見つけてなにが怖いって紙面で論戦ふっかけにいくのはこえ〜となりました)、人の意見を否定するときに、特に晩年はどんなに自分に対して頓珍漢な批判が来ていても、まずは相手の意見で合っているところを認めて、それから反論を出すところは真似していきたいなと思いました。

あと重治先生の地元のディープな話がよくわかるという点では、同郷で本当に良かったと思いました。

自分の外見に若い頃はコンプレックスがあって、学生時代に女性たちと友人の美男子たちが集まって誰がかっこいいかって話で、自分の名前が出なくて内心拗ねてたら美男子ではないけど好青年って言われて、かえって否定された上で中身を褒めてもらえて嬉しかった話とかも好きです。

オシくんの全集を読破して、やっと文アルのオタクとしてのスタート地点に立てた気がします。

もしかしたらここに書いてあることは全部記憶だけで書いてるので違ってるかもしれないです……